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【ディスクレビュー】GREAT3「愛の関係」
2014/03/19 Release GREAT3「愛の関係」ディスクレビュー



フランソワーズ・サガンを想った。

退屈な昼下がり。

この花が毒になったら、どんなに良いことか。

そんな空想に恍惚とする。


白けた現実に、本能が反抗するその一瞬に滑り込む甘い恋。

その淫靡な誘惑に、抗えようものか。


さあ、始めよう。


解放と快楽の、



―愛の関係を。







++++++++

 2014年3月19日。GREAT3が1年と4カ月ぶりのNEW アルバム「愛の関係」をリリースした。このタイトル。2014年の世にこんなタイトルのCDがリリースされる。こういう古き良きメタファーこそが、セクシーだ。何でもかんでも直接的に言えば良いってものじゃあない。そんなのは無粋で色気が無いというもの。所狭しと新譜が陳列されるレコード・ショップ。一際目を引くピンクに、真っ黒な服の男が3人。そして、「愛の関係」の文字。シンプルだが、写真の構図とカリグラフィーのバランスが冴えた良いジャケットだ。だがしかし、その秀逸さはジャケットだけでない。歌詞カードがまた、素晴らしい。ジャケットと同様、曲に合わせた多彩なカリグラフィーで歌詞が記されている。その文字を書いたのは、GREAT3活動再開時に加入した若きベーシスト、jan。一枚ずつ額縁に入れて現代アートの美術館の廊下にでも、11枚並べて展示したい。それ程までに、美しい。こういう芸術的なパッケージに出逢うと、「CD で買う意味」が、失われて欲しくない、と心底思うのだ。特別な何かをつける訳でもなく、ただ当たり前にあるものの隅々までを作品にしただけ。でも、それが気高い。まるでGREAT3というバンドを表すかの様だ。ディスクには、先の「ホフディランとGREAT3」@恵比寿LIQIDROOM(詳細はライヴレポート参照http://anne-j.jugem.jp/?eid=91)にて披露された「穴と月」「愛の関係」を含む11曲が収まっている。有閑な短編恋愛小説の様であり、オムニバスのフランス映画の様でもある。澄ました顔も、冷めたふりも、彼らの音楽の前では通用しない。右から左から畳み掛ける、真ん中に集まる、際限なく広がる。耳から入って縦横無尽に体を翻弄する音。されるがままに、愉しんでほしい。尚、驚く程に緻密故、是非とも無音の中でイヤフォンかヘッドフォンで堪能することを推奨する。



【GREAT3「愛の関係」3文全曲解説】

01:丸い花 作詞/作曲:jan
 東南アジアの湿度の高い空気に充満する、花の香を思わせるエキゾチックなjanの歌声に、シタールよろしく響く、長田進によるギタープレイ。弱冠23歳が表現する世界観としては、違和感しかない。だが、GREAT3のベーシストならば、話は別だ。

02:愛の関係。作詞:片寄明人 作曲:白根賢一

 GREAT3の新たなるライヴアンセムの誕生だ。janのベースと白根のドラムが、疼きに堪えかねて跳ねる心音の様だ。〈誰かの言葉で/幸せになっても/それは幻で続かない〉、片寄の歌詞にも注目したい一曲だ。

03:穴と月 作詞:片寄明人 作曲:白根賢一/jan

 作曲は白根とjan。白根のキャッチーかつ力強い作風と、janの柔らかで異国情緒溢れる作風が重なって、ビビッドなポップナンバーに仕上がっている。夏の海辺、夕焼けから月を待つオレンジと濃紺の世界で聴きたい。

04:Don’t Stop 作詞:片寄明人 作曲:片寄明人/片寄明人、白根賢一、jan
包容力のあるディスコサウンド、とも言うべきだろうか。そんなサウンドに乗るのは、ひどく哲学的な歌詞。〈願わくば/動物を乗り越え/人として生きたい〉これはひとつの衝撃だった。

05:5.4.3.2.1作詞:片寄明人 作曲:片寄明人/白根賢一/jan
 一曲を通してポーカーフェイスに鳴り続けるリフはまさにカウントダウン。そして、きらきらと、時にヒステリックに表情を変える堀江博久のピアノは女心か。とろり、と蜜の様に蕩ける片寄の歌声が、淫靡な気配を匂わせる。

06:ポカホンタス 作詞・作曲:jan

 羽根の様にふわりと柔らかであたたかなjanのヴォーカル。輪郭は消滅し、どこまでも滲んでは広がる。この曲をライヴで歌うjanは、きっと天使の様に見えるのだろう、と思わずには居られない。

07:マグダラ 作詞・作曲:片寄明人
 冒頭にも少し書いたが、GREAT3はどこか美術館を想起させる。彼ら3人は本当に“アーティスト”と評されても、何ら違和感の無い“ミュージシャン”。だから、次の「モナリザ」も然りだが、このタイトルを見た時に、「やはりこう来たか!」と。

08:モナリザ 作詞:片寄明人 作曲:白根賢一
 THE GREAT3、とでも言うべきか。白根の作曲らしい印象的なメロディに、片寄の恍惚と棘を併せ持った歌詞。サウンド面では、3人の紡ぐ音が溶け合ってひとつになって、美しく儚げな、翳りのテクノを形成している。

09:タランチュラ 作詞・作曲:片寄明人
 冒頭でサガンを引き合いに出したが、この曲は言うなれば江戸川乱歩。怪しく耽美な世界観。楽曲のキィとなるギターのリフが、演じ分けられて展開されていくのが堪らなく美しい。

10:魂消 作詞:片寄明人 作曲:白根賢一/jan
 この曲の全てに、「魂消」た。たまげる、という意味合いよりも、「魂消」という字面の方がしっくりする気がする。janの文字の所為かも知れないが、何か得も言われぬ引力に吸い込まれて、魂を奪われてしまいそうに、なる。

11:砂時計 作詞:片寄明人 作曲:jan
 「愛の関係」と銘打った一枚の最後を締めくくるに相応しい、アヴァンチュール。砂時計の砂が全て落ちる様に、この曲が終わると、きちんと、この一枚を聴き終えた、という満足感に満たされる。そして兎に角、janのベースラインが素晴らしい。







20140/03/29
丁寧に、きちんと、作られたアルバムだ。
GREAT3のメンバーが、真摯に音楽と、作品と「愛の関係」を結んだ結果だろう。
その作品を引っ提げ、彼らは今度、リスナーとの「愛の関係」を築きに行く。
イシハラ マイ
レビュー | 01:03 | author イシハラマイ | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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